ジャカルタの「ゆとりーとライン」、トランスジャカルタ・コリドー13号線

ブロックMからほど近い、パサール・マエスティック(Pasar Mayestik。服や布地を豊富に売っている市場)の付近で見かける高架道路が微妙に気になっていた。と言うのも、高速道路にしては幅が狭いし、行き交う車が見当たらない。では高架鉄道かと言うと、架線が見当たらないし、鉄道にしてはカーブが急すぎる気がする。そもそも地図を見ても、そこに鉄道は走っていない。

気になる高架。
高速道路にしては幅狭で華奢な気も。走る車も見えない。
鉄道にしてはカーブが急な気もする。

いつもは車の中から眺めるだけだったが、この足で確かめよう、と言うことで歩いて行ったら

あった。登り口。階段があるのなら、その先に行ってみるしかない。

階段を上ると、例によって、ジャカルタならどこにでもいる眠りネコ。

結局登りきると、そこは例のトランスジャカルタの「駅」だった。

下から見上げていた高架を、登って上から見たらこんな感じ。

これがトランスジャカルタの「コリドー13号線」だった。ジャカルタ市の南部、西はPuri Betaから東のTendeanまでを結ぶ路線で、西のAdam Malik辺りからTendeanまでおよそ10㎞を、バス専用に建設された高架道路を走る。どうりで高速道路ほど幅が広くないし、バスが10分に1本程度走るだけだから、下から見ると、全然車が走っていないようにしか見えなかった訳だ。

“駅”にバスが近づくとこんな感じ(別の駅の写真ですが)。また別の駅だが動画がこれ。

この様子を見てしまうと、また名古屋に例えるのだが、まるで

ジャカルタの「ゆとりーとライン」ではないか!(ゆとりーとラインとは何か、知らない方は是非検索してください。)

名古屋を走る「ゆとりーとライン」はガイドウェイバスと言って、専用高架道路内ではバスから張り出した案内輪の働きにより、運転手がハンドル操作しなくても運行できるという、けったいな交通機関なのだが、ジャカルタのこいつはそこまで凝ったものでなく、専用路を普通にバスが走るだけ。でも、市街地の中を専用高架道で、渋滞も無くすいすい走り、鉄道駅のような停留所が備わっているのはどちらも同じ。電車ならある架線がないので車内からの見晴らしがすこぶる良いのもどちらも共通。

ジャカルタは東京都と姉妹都市関係にあり、それが縁で中古の営団地下鉄を無償で大量に譲り受けた経緯があるのだが、いやいや、東京との姉妹関係はさておき、名古屋との相似を自覚した方が良いんじゃないか、ジャカルタ。オアシス21、ゆとりーとラインと、名古屋にしかないどえりゃーもののそっくりさんを持ってるし。

途中の高架駅(いやバス停か)の一つ、Cipulir。服屋さんが入るモールのビルと直結。この感じもゆとりーとラインっぽい…。ただ、右側のモールは空き家だらけのゴーストタウン状態で、豪勢な駅に全く似合っていないのが残念であった。
高架鉄道に比べると路線がS字に曲がりくねり、周囲の建物との距離も近い気がする。街中を浮遊して走るような独特な眺め。
これまた眺め良し。ジャカルタのスカイスクレーバー群を見渡せる。
Cipulir駅下のコンコースからの高架道の眺め。これはこれでなかなかカッコよい。バットマン・ビギンズを思い出す。

また一つ面白いものを見つけた、と楽しい気分だったが、”インドネシアあるある”のケチも一つ付いた。この日のジャカルタは、日中、30分ほどのスコールが2度あったのだが、この高架道の少し低くなった部分に雨水が集中して流れ込んだらしく。排水溝も詰まっていたんだろう、まるで高架道が池のようになった部分もあって。

“水路”を波を立てて突き進むコリドー13号線バス。

後でわかったことだが、この水たまり部分の高架下では、雨も上がってだいぶ経つというのに、この水たまりから漏れ出した水がジャバジャバと滝のように地上に滴り落ちていたのであった。若干詰め甘し。 (了)

コメント

タイトルとURLをコピーしました